老いるとは悲しいことか、喜ばしいことか、あまり考えたことがない。老いることで筋力や体力が奪われてしまう。若き頃にできたことができなくなって、諦めざるを得ないことが、沢山、出てくる。人によっては目標を変えて、新たなる挑戦に挑むことがあるのだ。諦めから未知なる自分の可能性を見いださせてくれるきっかけは老いを感じる頃となる。しかし、諦めなくても、老いに見合った目標にしても良いが、若い頃を振り返り懐かしむことになるだろう。

僕は四十路だけど障害ゆえに諦めたことがある。諦めは覚悟が入りそうだが、僕の経験から言えば、開き直りに似ているのだ。できないことにくよくよして悲観的になるなんて情けない、過去の自分に懐かしむ暇がない、だから、開き直って、新たな自分を演じるしかないと言いたい。人によっては諦めないで維持することに目を向けろと思うはず。

人生には沢山の岐路があって、否応なしに岐路の選択に迫られることがある。健常者であっても、早かろう、遅かろう、岐路には立たされるだろう。岐路が訪れるのは老いを感じた頃と思うのが妥当である。老いを楽しむためには労力を押さえながら、極力、疲れないようにするのが望ましい。もちろん適度な運動をすることは必要だけど。日課でランニングをしていた人が、老いを感じて散歩を始めても構わないだろう。油彩画を描いていた人が、気軽にできる水彩画を描いても構わない。本格的に何かができなくても、規模を縮小して手軽な物事に興じてみても良いと思う。

今どきの高齢者以降の人たちは、まだまだ健康で、もしかすると多少は衰えるかもしれないが、若い頃と変わらぬようにできるはず。諦めない生き方を邁進してみるのもありだとは思うが、老いには勝てないと思う生き方もありだと思う。つまり、完全なアンチエイジングがあり得ないから、老いと付き合うしかない。そう、まだまだ、人間は老いには勝てないと思うのが賢明である。